サン・ファン・バウティスタ号を保存する会
設立趣意書
東日本大震災から時を遡ること400年、1611年に発生した慶長三陸地震の大津波もまた東北の沿岸域を襲い、仙台藩もまた甚大な被害を受けたことが記録されています。藩の再建を図るべく仙台藩主伊達政宗が家臣の支倉常長を使節団の最高責任者に任命し、スペイン国との通商交易に向かう大航海に向かわせました。まさにその偉業のために建造されたのがサン・ファン・バウティスタ号でした。
慶長遣欧使節ら郷土の先人の偉業を称えるとともにその再認識と後世への継承を目的に復元船建造の声が高まり、1990年慶長遣欧使節船復元準備会が設立され、「1木造船とする、2原則として原寸大とする、3石巻地域の造船所で建造する、4宮城県内の船大工を中心に建造する」に基づいて建造が進められ、月浦出帆380年にあたる1993年に、復元船サン・ファン・バウティスタは進水しました。この復元船は、県民共有の偉大な文化遺産であるとともに、宮城県民の国際性、先進性、そしてチャレンジ精神を世界に発信するものとされ、建造費17億円のうち5億6千万円は、宮城県民からの募金で賄われました。
その進水から25年、サン・ファン・バウティスタ号は東日本大震災の被害や老朽化にともなう船体の損傷が進んでいることなどから、慶長使節船ミュージアムの今後のあり方検討会が協議をはじめ、解体の方針が決定されました。その後、後継策を協議する検討委員会が本年2月1日、宮城県庁であり、復元船の4分の1の大きさで、繊維強化プラスチック(FRP)製の後継船を新造する方針を了承しました。
今後は新年度に作業部会を新設し、検討内容を具体化させることまで決定しています。
私たちはその解体そのものに疑問を抱き、可能な限りこの偉大な文化遺産を残す活動を石巻市民をはじめ、県民全体で進めていきたいと考えています。
比類なきこの船は総重500トン、全長50メートルを超える偉容を誇り、見るものを圧する迫力であります。それに反し船内の狭隘は、往時の乗組員の苦難を感じられ、改めて先祖への畏敬の念を禁じえません。そのような体験は原寸大の船でのみ体感できる事であると思います。
今後は具体的な保存方法の決定、それにともなう費用の算出と資金の確保、それらを実行に移すための手法の決定を順次協議し、多くの皆様の賛同を得ながら地域コミュニティーの醸成も図って参ります。
最後に、この活動が成功しますように、皆様方のご協力を是非ともお願い致します。
令和元年10月
サン・ファン・バウティスタ号を保存する会
会長 齋藤祐司 会員一同
正式名称:サン・ファン・バウティスタ号を保存する会
事務局所在地 石巻ニューゼ(石巻日日新聞) 宮城県 石巻市 中央2丁目8-2
電話番号 0225-98-7323
役員:
代表 齋藤祐司
副代表 阿部久利
理事 近江弘一
理事 須永浩一
事務局長 石森洋史